2009-01-01から1年間の記事一覧

「喜劇 家族同盟」前田陽一

誰が何と言おうと「喜劇 家族同盟」(前田陽一 1983)である。横浜を舞台とし、冒頭、山下公園で有島一郎がヘンテコリンなステップを子供たちに披露するシーンから始まり、続いて寿町で生活する中村雅俊が登場するこの映画は、その舞台からして「寿 どっこい…

「キャピタリズム」マイケル・ムーア

寒さが大キライな人間にはつらい毎日。月曜日は初めて見るマイケル・ムーアとして「キャピタリズム」。ゴダールの新作は「ソシアリズム」らしいから、ホントは違うんだろうけど、対抗してるのかなあ。違うな。映画の方はといえば、NHKスペシャルやピーター・…

「モラン神父」ほか ジャン・ピエール・メルヴィル

身体の防寒はなんとかできてるけれど、自転車で駆け抜けるとき「耳」の防寒が大事なことを改めて感じる。耳からは相当体温が奪われる。明日からは「耳対策」を考えることにする。 ようやくメルヴィル特集最終日。「モラン神父」と「この手紙を読むときは」と…

「パブリック・エネミー」マイケル・マン

冷たい空気を自転車で突っ切って吉祥寺へ。「パブリック・エネミー」(マイケル・マン)。メルビルの「ギャング」や「リスボン特急」や「賭博師ボブ」なんかが「警察」と「犯罪者」をほぼ同じ存在として描いていたけれど、その点、どうもクリスチャン・ベイ…

二人の男

もしかしたら、なにも起こらない もしかしたら、なにも起こらない とても 晴れた夏の陽射し (sakana 「夏」 1991) 前日の雨と寒さから一転、狂おしいほどの太陽の光と温かさがやってくる。引き続き飯田橋へ。「恐るべき子供たち」と「ある道化師の24時間」…

影の軍隊ほか

100メートル先で8階建ての、ビルの屋上から ラクダの背中へ (sakana 「100メートル」1991) 雨が降って寒い中、再びメルビル特集へ。 「いぬ」(1962)と「リスボン特急」(1972)と「影の軍隊」(1969)。あ、前の週は「賭博師ボブ」。パラパラと見てくる。…

「ニュームーン/トワイライトサーガ」クリス・ワイツ

書いた葉書はすぐに出さずに、床掃除もまだ済んでない でも誰も来ない 取りあえず灯台へ行こう 灯、点すのは後、サフサフ、アー、アー、 樹々も蒼く透ける午前には、取りあえず灯台へ行こう (sakana 「灯台へ」 1991) テレビなんて見なくなって久しいけれ…

「フェルショー家の長男」ジャン・ピエール・メルヴィル

言葉というのは初めに、むこう側からすれば発信、こちらからすれば受信、いずれにせよ、かすかなものだったとも考えられる。「大音奇声」ともいわれて、大声で告げられても、かすかにしか聴き取れないことがある。しかもその発信の意味が、かならずしも限定…

ブレディスローカップとか

生まれて始めてオールブラックスとワラビーズの試合見たり、サム・ライミの「スペル」見たり、カネフスキーの「動くな、死ね、蘇れ」見たり、松村浩行の「TOCHKA」見たりしたけど、怠惰な日々。とにかく眠らないようにしたい。「TOCHKA」の上映後には鎌田哲…

「アンヴィル」サーシャ・ガバシ

どうにもこうにも鬱がやってくるので吉祥寺へ。「アンヴィル」(サーシャ・ガバシ)。ヘヴィ・メタルは演歌のような気がしてきた。音や演奏の派手さよりも、歌詞がなにより直接的で情緒的過ぎるのではないか。冒頭、84年の西武球場での来日公演から始まり、…

きみがぼくを見つけた日 ロベルト・シュベンケ

今年のテーマとはいっても、あと2ヶ月しか残っていないけれど、公私混同なるものの実践によって、サラリーマンの賃労働としての「公」と、その反動、反感、愚痴、偽の空き時間としての「私」との二項対立そのものをなしくずしにすることができるのではないか…

「アンナと過ごした4日間」イエジ・スコリモフスキ

私たちが生きている時間はまっすぐなのかじぐざぐなのかくるくる回りながらなのかは問わず、何かに向かって「進んでいる」ような気がする。でないと困る。今日は昨日の影響下にあり、明日は今日を下敷きとして繋がっている、ような気がする。 病院の火葬場で…

ギー・ドゥボール特集

今回、アジアでギー・ドゥボールの撮った映画6本全てが初めて上映されるということで、日仏学院は立ち見(座り見?)が出るほどの観客が集まっていた。 そもそも、ギー・ドゥボールの本は1冊も読んだことないが、とにかく見てみた。 考えなきゃいけないこと…

私の中のあなた

高見映ことノッポさんがNHK教育テレビに出演していて、自らの幼少期を振り返り次のようなことを語っていた。「わたしは5歳くらいで大人がウソを付いたり、大人が子どもを子ども扱いしている、という事実に気づいていました。そのことをはっきりと分かってい…

metric live@渋谷CLUB QUATTRO

台風がやってくる直前、それまで降っていた雨が小降りになり、続いてほとんど止み始め、普段よりも人通りが少なく静けささえ感じられる渋谷でライブが始まった。 オリヴィエ・アサイヤスの「クリーン」、そして「NOISE」でその存在を知る事となったmetricの…

No Limits No Control

う〜ん、闘うならやっぱり「独り」の場所から始めることですな。イザック・ド・バンコレの存在は、この映画の始めから終わりまでどこから来たのか、どこへ向かってゆくのかが誰にも分からないまま、仕事、使命を終えた後、ホテルのドアを開け、外光の中に消…

ペーパー・ファミリー

ライアン・オニールって闘病中のファラ・フォーセットを看病してた人か。「E.T.」と「炎の少女チャーリー」に出演した後、1984年に撮られた作品。監督はチャーリー・シャイヤー。原題は「Irreconcliable Difference」。和解し難い不和、というようなコトバで…

メイン州ベルファスト

ワイズマン特集にふらっと。249分の長い映画だったため、もやもやした日常から逃げるために劇場の椅子に座り続ける。1999年の作品で、途中に出てくる裁判のシーンを見る限り、1996年ごろの、メイン州はベルファストの町を、漁業、農業、工業、狩猟、病院、学…

私は告白する

感冒を直さむとすべく久しぶりに水泳へ。近年は泳いで身体をあたためることで病が治る傾向にある。ような気がする。気を取り直して吉祥寺。「ウルヴァリン-XmenZERO」。「ダークナイト」、「ウォッチメン」、う〜ん、その他もろもろのアメリカンコミックには…

断絶

同人誌のようなものの印刷を自宅でしてみることになる。いざ、実行すると時間かかる。結局半日はインクジェットプリンタの前に座りっぱなし。どうしたものか。製本作業もきわめて手作業で、これは今後の策を練らねばならない。 そんなこんなで「断絶」(モン…

アンソニーのハッピーモーテル

ウツに落ちまくりで、いかんともしがたく手にとったDVDを見る。久しぶりに見る。 世に云うロード・ムービーは目的もなく「いまここ」ではない場所へ行きっぱなし、離れ続けるものだとすれば、この映画はいまここから「出てったり戻ったり」の映画だ。いわゆ…

HIGH WATER

シアターTSUTAYAの地下は確か240人くらいのキャパシティだけど、観客の数は自分含めて3人。上映開始までずっと独りだったので、劇場独り占めかと思いきやちょっと年上の男女二人組が入って来て3人。「ステップ・イントゥ・リキッド」のデイナ・ブラウンの新…

サブウェイ123

「普通」のひとが「普通」に災難に出会って「普通」に対応して、「普通」に日常に戻る映画にも見える、現代的な映画なのだった。 上映時間が105分と近年のアメリカ映画のなかでは短いのがいい。 地下鉄職員のデンゼル・ワシントンの上司やニューヨーク市警、…

ユージコージ

朦朧。惑乱。溶解。悶々。昏々と過ごす日々。 調布飛行場へ向かう飛行機はいつも自宅の頭上を飛んでいる。 がしかし、今日は、いつもと違うルートを飛行する機が。 北側(入間かな)から、南側(厚木かな)へ低空飛行する軍用機の数がハンパじゃない。 民主…

SleepWalker

何度でも確かめなければならないこと。個人が生まれ、生き、生活し、死んでゆく時代が、決して「特別な時代」などではないということ。「特別な時代」とは、「被害者」として、あるいは「加害者」として生きてしまうような時間として生きてしまうような「時…

ほうかごぼうきゃくくらぶ

泳いでばかり。 大人の世界に再び戻れるのか。 先週の土曜日は「真夜中の湾祭り」@バウスシアター。当日券発売開始に向けて自宅を出たのが19時。自転車乗って15分で到着。チケット番号は26番。どうやらあまり今回はあまり混雑しないらしいぞ。祭り中の再入…

向き不向き

貧富や優劣、経験の差、やる気のあるなし、ウツかソウか、音がなっているかなっていないか、覚えているか覚えていないか、おもねるか孤立するか、生きるか死ぬか、息するかしないか、太るか痩せるか、やるかやられるか、やるかやらないか。 だから、そういっ…

合掌

ある友人は「ミスティック・リバー」のローラ・リニーを見て、特に最後の山車が写されるシーンの直前、彼女がショーン・ペンに抱かれながら「あなたは王なのよ」とかなんとか云うシーンをもってして、「専業主婦こそが戦争を遂行し推進するのだ」というよう…

背中で語れる男になるために

しつこいようだけど、相変わらず枕元には週間プロレスの三沢追悼号を置いて、寝る前と朝起きる際に、表4に写されている両手を高く突き上げた三沢の後ろ姿を見る。 40代半ばのレスラーの背中の筋肉は、三沢個人が受け止めることができるであろうことどもの総…

ありふれたもののディストピア

夕陽妄語は実家住まいのときにちらちら読んではいたけれど。 加藤周一。 あんまり買わない現代思想で特集が組まれていて、廣瀬純の論考だけが読みたくて買ってしまう。 「加藤の意志を継ぐことは、加藤のユートピアを継ぐことかも知れない。しかし、加藤を貫…