「かいじゅうたちのいるところ」スパイク・ジョーンズ

結局抗生物質に頼ることにしてなんとか生き延びる。
久しぶりにバウスシアターへ。「かいじゅうたちのいるところ」(スパイク・ジョーンズ)。
子ども向けも意識してか大きい劇場で上映中。
我が家も子どもと共に出陣するが、劇場内は大人だらけ。娘以外にはもう一人だけ小さな男の子が親子で見に来ている。
う〜ん、映画といえば、これじゃ子どもをバカにしてるとしか思えないし、大人がこんな風に子どもの世界を見ているとしたら、それはそれで気持ち悪い。
ユートピアに向かう子どもが、ユートピアに絶望して、母親のいるこの世界を再びユートピアとして読み直す物語。
しかしまあ、あんなに簡単にかいじゅうたちのいるところに行けてしまっていいのだろうか。
冷凍のコーンしか食べさせてくれない母親がいるこの世界にしてすでにかいじゅうたちのいるところとして読み込んでから始められないだろうか。
キャスト・アウェイ」で無人島からトム・ハンクスが「この世」に戻ってからの絶望というか、悲しみというか、まあ無人島から始めるしんどさと新しい生を受け入れるための勇気の示し方の方がよっぽど子どもが生きる世界に接続できるし、むしろそこからしか、子どもとともに生きることなんてできないのではないか。
冒頭の雪山、かまくらに潜るシーンとかいじゅうのお腹に入って隠れるところが重ねられて、どこまでも子宮回帰の狭苦しい物語にしか見えなかった。
唐突に宣言すると、「子どもは大人に先行している」のだから、大人が子どもに向かって近づいていかなければならないのだった。