「ブラインドネス」フェルナンド・メイレレス

朝から首都高速を大雨のなか120kmのスピードでタクシーを飛ばし、三鷹の東端にある自宅から20分強でなんとか新橋に到着し、乗らなければならなかった新幹線に飛び乗る金曜日の朝。午前中に予定していた兵庫県西宮市夙川での取材は、取材先の都合で、急遽午後に延期され、いやはやなんとも、ぼくの早起きを返してください。
土曜日は娘を保育園に送り届けた後、渋谷シネパレスで「ブラインドネス」(フェルナンド・ メイレレス)。「アイズ」は一人の盲目の女性が、一旦視力を取り戻した後、誰だか知らない他者のおぞましい過去の映像を見せられ、再び視力を失う物語かと思ったら、この映画は、世界中の誰もが一旦視力を失い、強制収容所に閉じ込められた後、どうやら少しずつ誰もが視力を取り戻す、という物語。ジュリアン・ムーアだけは視力を保っているという設定は解せないところもあるけれど、視力を失った夫と共に強制収容所で生活をし、同じ部屋の仲間たちを助け、外の世界に導くのは女性である彼女。
収容所内だけでなく、脱出した外の世界をさまよう視力を失った人々が歩き、転び、迷う姿は、ゾンビのそれにしか見えず、この映画もゾンビ映画なのかとも思えてくる。「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」では、ラジオやインターネットという媒体を通じて、かろうじて映画の登場人物以外が存在する外界へ開かれていたけれど、この映画では、外界のイメージを開いてくれるのは、へんてこりんなビデオ映像を通じて命令してくる男性が喋る映像のみ。ジュリアン・ムーアとその仲間たちだけに閉じられたまま、伊勢谷友介が視力を取り戻したところで映画は終わる。世界が崩壊していくイメージはこの頃のアメリカ映画と共有しつつも、視力を失い、取り戻すきっかけが唐突過ぎて崩壊後の世界が生ぬるく感じられた。けれどもやっぱり世界を救うのは女性なのでしょうか。
映画館を飛び出してそのままジムへ。マシンもプールも飽きてきた。
気を取り直して吉祥寺へ。「1048号室」(ミカエル・ハフストローム)。この映画では、強制収容所ではなく、ホテルの一室にオカルトライター(そんな言葉でいいのかな?)であるジョン・キューザックが閉じ込められ、別居中の妻に再開する物語。一度入ったら出られた人間はいない部屋でも、消防隊の人なら入っても大丈夫なのかしらん。
日曜日。妻の誕生日ということで外でお食事をと思い向ったのは西新宿五丁目。山珍居。一度、ランチを食べてからというもの是非もう一度ゆっくり食事をしてみたかったのだが、日曜日はランチの営業がないことが判明。とぼとぼと新宿駅に向かって歩いて辿り着いたオフィスビル地下のお寿司屋さんで残念な食事。いくつか買い物を済ませたのちに、悔しかったので夜に再び、西新宿五丁目へ。
決して安いとはいえないけれど、台湾に行ったことのない自分でも、きっとこれが台湾料理なのだろうなあと思わせるお味。どのお皿にも八角の匂いがぷんぷんしますが、美味です。おいしいです。地参(ちさん)という根菜を乾燥させた漢方みたいな前菜が、見た目の気持ち悪さとはうらはらに、スナック菓子みたいで美味しいです。火鍋とかかれたお鍋ですが、イメージしていた西安のそれではなく、透明なスープにあっさりしたお味で、野菜たっぷり娘も満足です。
途中、テレビを通じて見るイメージはあまり良くなかった元宝塚の女優さんが来店。いやはや顔は小さいし、服の着こなしも好感が持て、とっても素敵な女性であることが判明。アラフォーなんていわずに、素敵な女性はいつでも素敵なので、いくつになっても堂々としていて欲しいものです。