ペインフルライフ

土曜日。午前中は勤務先の学校、午後は知人の結婚式という妻の替わりに朝から娘の面倒を見ることに。快晴とはいえない空のと娘の機嫌を窺いながら、牟礼コミュニティセンターのプールに行くことに。娘の愛する自転車で快調にプールまで飛ばしていくと、プールの営業は8月末日をもって終了しておりました。とぼとぼ帰宅してから、ものすごく早いタイミングでお昼ご飯をたべる。あらかじめ準備されていた肉じゃが。二人でたらふく食べた後は、予定していたパンダフルライフを見るために、昼寝。2時間ほどぐっすり眠った二人は、意を決して時間とタイミングを見て未だ行ったことのない品川の映画館に。ところが、最寄駅まで行くバスが相変わらずの渋滞につかまり、予定変更。いまさら愛読しているぴあと睨めっこして新宿ピカデリーで。「パンダフルライフ」。正直な気持ちは、「アンパンマン」の方がよほど見たかったのだけど、もっというと「カンフーパンダ」の方を選択する予定だったのだけれど、どちらも既に終了していたようだから、仕方なく、娘との妥協もあり「パンダフルライフ」。訪れるのは2度目となる新しくなった新宿ピカデリーは、相変わらず最悪の動線で、チケット売り場のスタッフ、それから各スクリーンの周辺で雑務をこなすスタッフ、そして多分ここで働くほとんど全てのスタッフが7対3くらいの割合でこのシネコンの経営側を向いているのだろうなあ、とオムツトレーニング中の娘とオムツを替えられるトイレを探している時に、つくづく感じた。(もちろん7が経営側で3が観客です。)何度もオシッコをしたがる娘の様子がどうもおかしと思ったら、なんのことはない「パンダフルライフ」が映画としてとてもつまらないからだった。1時間ほど見て、自分自身も画面を追いかけるのを諦めかけていたところ、娘の「お外行く」という一言で決断。新宿三丁目をタラタラと歩いて、妻と落ち合うために横浜に。湘南新宿ライナー。グリーン券と一番搾りを購入して乗車。こどもとの長時間の電車にグリーン車はなにかと助かる。生意気な気もするけど、たまにはグリーン車も良いものです。そして久し振りのグランドゥーカ。端的に今日食べたいもの、アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ、が食べたいですと伝えると、ペペロンチーノに貝2種(ムール貝、アサリと蛤のあいのこみたいな貝)を絡めたパスタを用意してもらえることに。パスタを食べると下痢をする娘には特別に確保して頂いていた仔牛と野菜たっぷりのスープ。シチリアの白ワインをだらだら飲みながら、あっという間にパスタを食べ終わると、メインの仔牛がやってくる。北海道産の仔牛で、ハツとハラミがそれぞれ焼かれてでてきた。最高美味なり。そうこうしているうちに結婚式を終えた妻がやってきて、チーズと白ワインで乾杯。近いうちの再開を斎藤さんには約束して、早々と店をあとにする。元町からタクシーに乗り込み、野毛小路に。同級生の島村くんがお父さんの後を継いでやっているパパジョンへ。白角の水割りを2杯と瓶ビール1本を呑んで、こちらも早々とバイバイ。お目当ての万里へ到着すると既に閉店。あきらめずに別館に行くと、まだまだ営業中。タンメンと焼きそば(やわらかい麺)と瓶ビール。いいかげん酔っ払っているけれど、どちらも完食。よく食べました。
日曜日はお掃除とお昼寝と娘と遊ぶ。
そして本日は、掃除の続きを少ししてからジム。筋トレはきちんとこなしたけれど、スイミングがいまいち。「なか卵」でカツカレーとうどんをしっかり食べた後、吉祥寺で「ウォンテッド」の先行上映。あぁ、やっぱり男はもうだめだね、女だね、という感慨を再び深めてくれる冒頭のアンジェリーナ・ジョリー。物語はこれまた支離滅裂な前後関係が全くよく分らないまま暗殺集団に巻き込まれていくダメ男の話。終盤、チャンチャンと纏められそうな展開に最後の最後のおとしまえのつけ方は少し気になったけど、やっぱりよく分らないまま映画館を出る。山岳地帯を走る列車がものすごい高さにある橋から落下するシーンはドキドキしましたけどねえ。あ、でもやっぱりこの映画でもなんだかんだで最初から最後までしっかりしているのは女性であるアンジェリーナ・ジョリーだけでした。ナイン・インチ・ネイルズの楽曲が最初の方にかかりますけど、使い方違うと思いました。あ、でもカーチェイスのシーンのアンジェリーナ・ジョリーはかっこいいと思いました。
久し振りにだらだら読んだ田中小実昌で、気になるところを少し。「やさしい男にごようじん」というエッセイ集のあとがきのようなもので、文中のM.Mはマリリン・モンローのこと。田中はコミさん。

 田中 マリリン・モンローって名前がニホンで有名になったのは「ナイアガラ」からだ。
 モンロー 1953年の映画ね。わたしが23歳のときよ。
 田中 ハリウッドでスターになるのはたいへんなことだから、23歳ってのは、けっしておそくはない。いまごろだと、男性でスターになるのは、40歳すぎだとかさ。60歳すぎの主役スターなんてざらだしね。
 M.M でも、「ナイアガラ」のまえに、ジョン・ヒューストン監督の「アスファルト・ジャングル」もあるわ。あのときは、わたし21歳。
 田中 ジョン・ヒューストン監督は低予算のいわゆるB級映画がうまい。ハンフリー・ボガード出世作になった「マルタの鷹」もB級映画だからね。
 M.M 「アスファルト・ジャングル」はニホンでは、あんまり知られてないみたいだけど。
 (中略)
 田中 ほんとにかわいい。かわいくてバカな女の役だった。あなたはバカな女の役がうまい。これは、りこうな女(ひと)しかできないし、それに演技もとってもじょずでないとね。
 M.M わたしのことを、ニホンの人たちはグラマーなんて言ってるけど、わたしはアメリカではふつうのからだつきの女性で、たとえばエヴァ・ガードナーみたいな女優とはちがうわ。
 田中 そうなんだ。セクシィというのも演技だしね。「ナイアガラ」ではお尻をふってあるく、いわゆるモンロー・ウォークがニホンでも評判になったけど、あれは安手のセクシィ演技で、ぼくは好きじゃない。
 (さらに略)
 M.M わたし、ニホンにもいったわよ。野球のジョー・ディマジオとの新婚旅行ってことでね。
 田中 そのとき、あなたは浅草でニホン人の男を買ったというウワサがある。
 M.M ええっ!
 田中 エヴァ・ガードナーも買ったというおなじ男だ。しかし、あなたは実際には、あんまりセックスには関心がなかったのかも。
 M.M 実際なんて、どうでもいいわ。


実際なんて、どうでもいいわ。