秋谷海岸

妻の実家のある横須賀に帰る。当初はもっと遠くへ家族で旅行を計画していたが、「今年は何かに取りつかれているから、どこにも行かずおとなしくしてなさい。」義姉によるという助言のもと、横須賀でじっとしていることにする。とはいいつつも、夏だし三浦半島だし海くらいは娘に見せておかねば、ということでレンタカーを借りて秋谷海岸に。夏休みとはいえ、平日のせいもあるのかもしれないが、相変わらず海岸には人が少ない。商売をする気があるのかないのかさっぱり分らない海の家に1日利用料金を支払い、パンツが濡れたと騒ぐ娘と2時間ほど海で遊ぶ。秋谷海岸は三浦半島相模湾側で、海岸に山がすぐに迫っている感じが(まあ日本の海岸はほとんどそうかもしれないが)、猛暑の暑さ、セミの声とともに、自分が小さいころ長崎の島の海で遊んでいたころを思い出させる。
いつも通り、品川行き快速特急京急に乗り込むと、疲れてしまったのかすぐに眠りにつく。気を失ったかのように眠り、覚めると品川駅。妻によると横浜駅を通過したあたりで猛烈な雨と雷があったらしい。まったく記憶せず。帰宅するとどうも東京は局地的に雨と雷が激しいらしい。電車も止まり始めている。家の周辺はいつも通り暑い夏の空気。憑かれたかのように帰宅後すぐに泳ぎに一人家を飛び出てしまう。クロール。あまり力まずに手をかくコツを教えてくれる人はいないかしらん。周りのスイマーを観察しているとあまり力を入れずにでもしっかり手をかいているような気がする。
それにしてもアサイヤス特集。ヴィルジニー・ルドワイヤンコニー・ニールセンアーシア・アルジェントという女性たちは、世界のたがが外れて動揺し続けている男性たちとは異なり、「たがが外れ続ける世界」を生きる覚悟を常に更新しつづける強さを持っている気がした。女性に希望を託す、ということではなく、ただたがが外れ続ける世界を生きる女性が写っている画面を提示することで、資本や資本主義、新自由主義が広がり続ける日常を骨抜きにするための方向性を指し示すことができる、そんな意志がアサイヤスにはあるのかしらん、という妄想を広げるのであった。